3章:転機の領地視察

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 悪路が続いているのか、馬車はガタゴトと大きく揺れながら監獄を目指しひた走る。  両手足に拘束具をつけられ、ぞんざいに護送車両に乗せられたベアトリスは、薄暗闇の中で怒りを込めて呟いた。 「今回も、そして前回も……やっぱり全部、貴女の仕業だったのね」  ──セレーナ  ☩  ☩  ☩     時は遡り、ベアトリスが殺人未遂の罪に問われる直前。  ベアトリスの部屋に騎士のポールがやってきた。 「ユーリス副団長、騎士団長がお呼びです」 「騎士団長が?」   「はい。実は議会中に殿下がいきなり剣を抜きまして、居合わせた貴族が騒いでおります。事態の収拾のため、ユーリス副団長にも来て欲しいとのことです」 「そうか……」    ポールの報告を聞いたユーリスが気遣わしげにこちらを振り返る。心配そうな彼に、ベアトリスは精一杯の明るい笑顔を向けた。   「私は大丈夫だから、行ってきて」   「だが……」   「本当に、もう大丈夫だから」  父の失踪を知り、ベアトリスはひどくショックを受けていた。  にもかかわらず、フェルナンは何度も部屋の前に押しかけてきては「ひとりで夜会に出るのは外聞が悪い!」「おい、早く機嫌を直せよ」などと喚き散らし、強引にベアトリスと面会しようとした。  そんなフェルナンを(なだ)め、守ってくれたのがユーリスだったのだ。
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