3章:転機の領地視察

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「俺が不在の間、殿下がやってきたらどうします?」 「それは、自分でなんとかするから大丈夫よ、ほら早く仕事に戻って」  口ではそう言ったものの、誰も信用できないこの状況で彼と離れるのは正直不安……。   (だけど、これ以上お仕事の邪魔をして迷惑をかけられない)  もう一度「大丈夫だから」と言うベアトリスの横で、ポールが手を上げて一歩前に出た。 「それでしたら、ユーリス副団長が不在の間、僕がベアトリス様をしっかりとお守りします! お任せください!」 「ほら、ポールもこう言ってくれているし、なにも心配いらないわ」 「……分かった、すぐに戻る。ポール、頼んだぞ」 「はい! お任せください!」    後ろ髪を引かれるようにユーリスが出て行った後、突然部屋にセレーナがやってきた。  ここに居るはずのない異母姉の登場に、ベアトリスはひどく驚き尋ねた。 「セレーナ、貴女、いつきたの? というか、そもそも何故ここに?」 「殿下がね『身代わりはもう終わり』だって……ふふっ、ご苦労さま」 「え? 終わり? この視察が終わるまでの予定だったけど……本当にフェルナン殿下がそう言ったの?」 「うふっ、うふふふ……」
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