1章:悪役聖女の脱獄計画《プリズン・ブレイク》!

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 刑期満了を待っていても、看守の気まぐれな妨害で不当に延長されるかもしれない。 (一刻も早く王都へ戻って復讐を遂げる。どうせ破滅するなら、私を裏切った人間全員まとめて地獄に引きずり込んでやるわ)  人相の悪い集団に囲まれても怯えることなく、堂々と「私を仲間に入れて頂戴!」と言い放った少女に、屈強な囚人たちも困惑が隠せない様子。 「おいおい、やべぇ聖女サマが仲間になっちまった……」   「まったくだぜ。あの女、噂によると、王子に婚約破棄されて、ここにぶち込まれたんだってよ」   「ヒェッ! 王族に追放を言い渡されるなんて……あのツラ構えからして、ただ者じゃねぇよ。きっとヤバい極悪人なんだよ……オレ、こわい……」  デカい図体の男どもが、身を寄せ合ってプルプル震えている。  私って、そんなに極悪人に見えるのかしら?と若干ショックを受けつつ、ベアトリスは腰に手を当て、不甲斐ない男どもを一喝した。 「そこ! 聞こえているわよ、無駄話はおやめなさい!! この計画、やるからには、絶対成功させるわよ!」   「はっ、はいぃいい!!」 「分かりやした、姉御!」 (……んん?……姉御……?)  作戦会議を繰り返すごとに、ベアトリスは囚人たちと絆を深め、「姉御」などと呼ばれて慕われるようになってしまった。 (恋愛小説のヒロインに憧れているのに、どんどん悪の親玉みたいになっていくのは、なぜ……?)
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