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──時は、断罪当日にさかのぼる。
その日の公務を終えたベアトリスは、神殿の執務室に戻ると、倒れ込むようにソファに腰を下ろした。
(毎日残業ばかりで、ほんと嫌になるわ。前回お休みをもらえたのは、いつだったかしら……神殿の人手不足もいよいよ深刻ね……)
ぐったりしているベアトリスに構わず、未決済の書類が次々に運び込まれ、机の上に積み上げられていく。疲労困憊なのに休む暇さえ与えられない。
(このブラック神殿! 明日は絶対、休んでやる!)
心の中で愚痴を言いながら黙々と事務仕事をこなしていると、ヒソヒソと囁き声が聞こえてきた。
見れば、ベアトリスの身辺警護に当たっている騎士が、侍女に向かって小声で話しかけている。
私がこんなに大変な目に遭っているのに、まぁ随分と楽しそうねぇと、疲れ切ったベアトリスは少々やさぐれた。
「あぁ、疲れた。ずっと働きづめで肩が凝ってしまったわ。ねぇ、そこの騎士の貴方、おしゃべりする暇と体力があるのなら私の肩を揉んでくださらない?」
そう声をかけると、今まで笑顔だった騎士が「えっ!?」と困惑した。
「その……肩もみは騎士の仕事では、ありませんので……」
「楽しくおしゃべりする余裕はあるのに、肩のひとつも揉めないの?」
「それは……」
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