1003人が本棚に入れています
本棚に追加
/230ページ
「国家反逆罪により、罰としてかの者には大鉱山での無期限労役を命じる」
フェルナンは、かつて自分がベアトリスに命じたように、大鉱山監獄への追放を言い渡された。
生まれて此の方、剣より重たい物を持ったことのない彼には、鉱山での強制労働はあまりに過酷であった。
一週間も経つ頃には、顔から生気は消え失せ、別人のように変わり果てていく。
まだ二十代も前半だというのに、髪には白色が混じり目は虚ろ。
精神を病んでしまったようで、絶えずブツブツと恨み言を呟いているらしい。
奇しくも、かつて自分がベアトリスに告げた『己の愚かな悪行の報いをしかと受けるがよい』という言葉そのままの末路になったのであった。
憐れな息子の様子を知った王妃はひどく塞ぎ込んでいたが、そこは誰より気丈な『鉄の女』ルイザ王妃。
こみ上げる悲しみを活力に変えて、新たな後継者として入城したアラン第二王子の失脚と、息子フェルナンの復活をもくろんでいるようだ。
最初のコメントを投稿しよう!