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ヘインズ公爵ら古参貴族を率いる新王太子アランと、それを打倒すべく動き出す王妃。
王城での権力闘争に人々が注目する中、かねてより決定されていたセレーナとポールの死刑が粛々と執行された。
────表向きは。
「被検体Sの様子はどうだ」
「相変わらずだ。聖魔力と似て非なる禍々しい力を垂れ流しているよ」
「まるで、生きる呪具のようだな」
「おのおの、引き続き監視とデータ収集を進めてくれ」
「未確認の『力』については自分が分析いたします」
「ではこちらは、投薬の準備に移ろう」
白衣の学者たちは淡々と話した後、被検体に視線を戻す。
「この被検体に呼称をつけるとしたら、聖女の対極にある──【魔女】だな」
封印の拘束具で四肢を固定されたソレは、ガラス玉のような目でただ一点を見つめている。
地下深くの実験室では、魔法器具の作動音と学者がペンを走らせる音だけが響いていた。
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