4章:悪女の汚名返上いたします

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「実は私、面倒な仕事をベアトリス様に押し付けていました。聖女失格ですわ、ごめんなさい」 「わたしも、ベアトリス様に厄介な案件をこっそり回していました……。謝るのは私たちの方ですわ」 「私は先輩聖女様との関係に悩んでいた時、ベアトリス様が支えになってくださいました。心から感謝しております」 「ベアトリス様は、自分自身を守るためにも知識は重要だと教えてくださいました。おかげでわたし、やる気が出て筆記試験に合格できたのです! ありがとうございます!」 「図書館で優しく声をかけてくださって、とても嬉しかったのを今でも覚えています。また新しく出た本のお話をさせてくださいませ!」  追放される前は、神殿で孤立し、味方は誰もいなかった。  けれど今は、自分の復帰を喜んでくれる仲間がいる。   「みなさん……ありがとうございます」  感激のあまりこみ上げる涙を拭うと、そばに控えていたユーリスが小声で「良かったな」と囁いた。  その声色があまりに優しく慈愛に満ちていたものだから、ベアトリスはまた涙が止まらなくなってしまい、ユーリスに「泣きすぎだろ」とからかわれるのだった。
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