1章:悪役聖女の脱獄計画《プリズン・ブレイク》!

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 特別な力を持つ少女たちは、まず『見習い』として神殿に上がり、先輩聖女のもとで修行を積んだ後、さらに研修試験に合格することで一人前の『聖女』になれる。  試験先は実にさまざまで、孤児院への慰問活動の時もあれば、今回のように強制労働施設への見学実習のこともある。 「ほら、お役人に見つかったら没収されちまうよ。早く食べなさい」  ベアトリスは飴玉から視線をあげ、老人に懐疑的な眼差しを向けた。 (相手がどんなに人の良さそうな老人でも、所詮は犯罪者。油断してはダメよ)  つい先日、スパイに情報漏洩され、脱走計画を台無しにされたことで、ベアトリスは人一倍疑り深くなっていた。 「貴方の目的は、いったいなに?」 「目的? なんのことじゃろうか?」 「この世に無料(タダ)より高いものはないわ。特に物資も乏しく、心に余裕のないこの場所ではね」  裏切り、窃盗、強奪。あらゆる犯罪が横行するこの労働所で、無条件で他者に優しくする人間なんていない。    ベアトリスはいざという時に対抗できるよう、密かに神聖力を身体中にみなぎらせた。 「答えて。なにが目的? 私の神聖力? それとも体?? だとしたら悪いけど、どちらも差し出すつもりはないわ!」  
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