1章:悪役聖女の脱獄計画《プリズン・ブレイク》!

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 バッカスに励まされ、沈んでいた気持ちが浮上した。 (そうよ、私はまだまだやれる。人生挽回するために、次の一手を考えましょう)  ベアトリスは、さっき食べた飴玉の甘さを思い出しながら、晴れやかな気持ちで「やるぞ!」と決意を新たにするのだった。     ✻  ✻  ✻ (脱走がダメとなると、正攻法でここを出なければいけないわね。やっぱり模範囚になって減刑を狙う方向で……)    今後について思案しつつ洗濯をしていると、ふと視線を感じた。  顔を上げて見れば、純白のローブを着た少女たちが、こちらを見ながらクスクス笑って近づいてくる。  おそらく研修に来ている聖女見習いだろう。  少女のひとりが「お久しぶりですね、ベアトリス様」と声をかけてきた。 「もしかして、わたしたちの顔、忘れちゃいました? ひどいなぁ。わたしは貴女にいびられたこと、ずっと忘れられずにいたのに」  ベアトリスはしばらく考え……ようやく少女たちのことを思い出した。 「貴女たちは……」  目の前に立つ少女らは、かつてベアトリスの元で修行をしていた聖女見習いたちだった。 「お久しぶり、すぐに気付かなくてごめんなさい。でも私、貴女たちを虐めた覚えはないけれど?」  問いかけると、見習いのひとりが恨みがましく睨み付けてきた。 「虐めた覚えはない、ですって? ハッ! わたしに『貴女には聖女の資格がない』って言って、昇級試験を不合格にしたじゃないですか!」  
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