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「ねぇ、見て見て。元聖女さまが這いつくばって泥まみれの物を拾っているわよ。あはは! やだ、みじめ~」
「ふん、ざまぁみろだわ。大した能力もないくせに、偉ぶって他人を不合格にするからこういう目に遭うのよ」
最初は楽しげに笑っていた少女たちだったが、無反応なベアトリスに興ざめしたのか、次第に険しい顔になっていく。
「ちょっとアンタ、なんとか言いなさいよ!」
そう言われたので、ベアトリスは洗濯物を拾う手を止めて立ち上がった。
「これで満足かしら」
「はあ?」
「過去のことはお詫びするわ。正当な理由があって不合格にしたとはいえ、私も言葉足らずでした。先輩として、もっとはっきり言ってあげるべきだったわ」
ベアトリスは、すぅーっと息を吸うと、毅然と言い放った。
「他人を見下し、嬉々として虐めをする、そんな性根の腐った人間は聖女にふさわしくありません。見習いのまま昇格できない? 自業自得よ! 悔しかったら精進なさい!」
ハッキリもの申すと、彼女たちは面食らったように黙り込んだ。
(ふぅ、すっきりした)
清々しい気持ちで洗濯を再開したベアトリスだったが、「ちょっと待ちなさいよ!」と叫ばれ、うんざりしながら顔をあげた。
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