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「まだなにか用があるのかしら、こっちは忙しいのだけれど」
「このくらいで勘弁してやろうと思ったけど、やっぱ、やぁ~めた! ベアトリス、アンタって本当に生意気ね。もう我慢できないわ。最低最悪の悪女め、地獄に落ちろ!」
少女は真っ赤な顔で叫び散らし、興奮し血走った目でこちらを睨み付けていた。
あまりに憤慨した同僚の姿に、他の聖女見習いたちも困惑を隠せない。
「ねぇちょっと……顔すごく怖いわよ」
「気持ちは分かるけど、もう十分じゃない? 行きましょう?」
「なに言ってるの? コイツにはもっと罰が必要なのよ。わたし、セレーナ様から聞いたの。あの方が、ベアトリスからひどい仕打ちを受け続けて苦しんだってね。だからコイツはもっともっと苦しむべき。追放だけじゃ生ぬるいわ!」
歪な笑みを浮かべた少女が、一歩、また一歩と近づいてくる。
ベアトリスは身の危険を感じて、退路を確認しながら後ずさりをした。
「悪女に正義の鉄槌を下すべきよ──!」
逃げようと踵を返すが、それより早く少女に腕を掴まれた。
そのままギリギリとひねりあげられ、ベアトリスは痛みに呻く。
(この異様な力の強さは……身体強化の聖魔法!)
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