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「『へ?』じゃありません。さっさとしてください」
「え? ええ、そうね……じゃあ、ありがたく…………って、お、おおおおっ、お風呂ォ!?」
個室にふたりっきり、そして入浴、してほしいコト……。
ハッ! まっ、まさか……!
(コイツ、私のカラダが目当てなのね──!!)
ベアトリスは両手で胸元を隠し、後ずさりながらユーリスを睨んだ。
「少し会わない間に、貴方すっかりろくでなしになったのね! いいえ、今までは猫を被っていたのかしら」
「…………はい?」
「『はい?』じゃないわよ! 生真面目な人だと思っていたのに、すっかり騙されたわ! 部屋に連れ込んで、無理やり……だなんて。アナタ、ちょっと顔がいいからって……見損なったわ、この破廉恥騎士! 変態! すけこまし!!」
「すけこまし……」
ユーリスは頭痛をこらえるように片手で額を押さえ、上品な容姿に似合わぬぞんざいな口調で呟いた。
「なにを勘違いしているんだか…………めんどくせぇな」
「今『めんどくせぇ』って言ったでしょう! 聞こえてるわよ!! いいこと、私はそんな安い女じゃないの。囚人に身を堕としたからといって、好き勝手できると思ったら大間違い……って、あわわっ!」
話の途中でユーリスが急に歩み寄ってきたため、ベアトリスは驚き慌てた。
(な、ななな、なに、いったいなに!?)
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