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ベアトリスは再び警戒し、守るように自身の体を抱きしめる。
ユーリスは、本日何度目か分からない溜息をついて、呆れ顔でバッサリ言い切った。
「貴女には全然、まったく、一切、ほんのカケラ程度も興味がありませんので。どうぞ安心を」
(ぜっ、全否定……! なんか、それはそれで、ちょっとプライドが傷つく……)
色々な意味で内心ショックを受け棒立ちになるベアトリス。
それを見たユーリスが冷めた無表情から一転、急に艶めいた微笑を浮かべた。
「ぐずぐずしていると、俺が強制的に脱がせますが、よろしいですか?」
「そんなのダメに決まっているじゃない!」
完全にからかわれていると分かっているものの、恋愛ごとに疎いベアトリスは、赤面しあたふたするのを抑えきれない。
着替えを胸に抱えて、ひっくり返った声で叫んだ。
「のっ、覗いたら絶対、許さないんだから!」
「はいはい。安心してください。興味ありませんので覗きませんよ」
(くぅっ、コイツ、二回も興味ないって言ったわね!)
自分に無関心なユーリスの様子に、ほっとするやら、『私ってそんなに女性として魅力ない……?』と、少しがっかりするやら。
複雑な気持ちになりながら、ベアトリスは浴室に駆け込んだ。
✼ ✼ ✼
一方、部屋に残されたユーリスは──。
「ようやく行ったか。まったく、騒がしい奴だな」
思わずふっとほほ笑み、部屋を更に温めるべく暖炉に薪をくべた。
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