1章:悪役聖女の脱獄計画《プリズン・ブレイク》!

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 ベアトリスは未だに、ユーリスがセレーナの味方だと決めつけているようで、再会後もまったく心を開いてくれなかった。  会えば気まずそうに顔を背け、口を開けば皮肉交じりのセリフを言い放つ。 (俺は、相当嫌われているんだな)  そう思っていたが、当たりが強いのはユーリスに対してだけではなかった。   「ベアトリス様って、上級聖女様で、しかも王太子殿下の婚約者だろう? 気安く話しかけられないよ」 「そうそう、しかも圧がすごくて。ただでさえとっつきにくいのに、あのかわいげのない言動……怖いわ」 「セレーナさんって、いつもベアトリス様に怒られているじゃない? 本当にかわいそう。同情しちゃうわ」    優秀だが気位が高いベアトリスは、高飛車な口調や無愛想な言動も相まって、神殿内で完全に孤立していた。    お節介だと思いつつも、口調に気をつけるようユーリスが忠告すれば、彼女はますます頑固になり溝は深まるばかり。  結局、関係は修復されぬまま、王室の決定によりベアトリスは追放され、今に至る──。  浴室の扉がガチャリと開き、ベアトリスが居間に戻ってきた。    物思いにふけっていたユーリスは現実に引き戻され、振り返る。
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