1章:悪役聖女の脱獄計画《プリズン・ブレイク》!

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 晴れやかに告げると、ユーリスはうつむいて小さく呟いた。 「……ひとは、そう簡単には変われませんよ」 「え?」 「いいえ、なんでも」  そう言って首を横に振る彼は、いつも通り冷静沈着でクールな表情だ。 (聞き取れなかったけど、今なんて言ったのかしら? それに、なんだか暗い表情だったような……。そういえば、私、ユーリスについてなにも知らないわ) 「それで、貴女には王都に……って、ベアトリス様? 聞いていますか」 「えっ? あっ、なに? ぼーっとしちゃった、ごめんなさい、もう一度言って」 「ですから、俺が今回ここに来た理由ですが」  そう言って、ユーリスが改めて話し始めたその時──。  ドォンッという地鳴りとともに、突き上げられるような激しい揺れに襲われた。 「きゃっ、なに!?」  テーブルから茶器が滑り落ちて割れ、戸棚や本棚もぐらぐらと大きく揺れている。    とっさにユーリスが庇うようにベアトリスを抱きしめた。   「と、止まった……?」    しばらくしてから、ようやく地震が収まった。 「ええ、そのようです。激しい揺れだったので、鉱山で落盤など起らないと良いのですが」 「鉱山……」  次の瞬間、ベアトリスはハッとして勢いよく立ち上がった。 「ベアトリス様?」 「バッカスが……知り合いが、今日は深層部で採石するって言っていて……私、行かなきゃ!」 「待ってくださ──」
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