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プロローグ~追放された悪役聖女、リベンジを誓う!~
幼い頃から、恋愛小説の主人公に憧れていた。
虐げられる不遇な女性が、素敵な王子様に見初められ愛される物語は、何度読んでも胸がときめく。
しかし、物語の主人公とは得てして、いつも正しくて良い子が多い。
虐められても我慢強く耐え忍び、寛大な心で悪者を許す健気で優しい女の子。
──敵を許すなんて、私には到底無理な話だわ。
ベアトリスは、そんな主人公とは真逆の性格だった。
腹が立てば怒るし、ひどいことをされたら許すどころか倍返しにしなきゃ気が済まない。
気が強く人付き合いが苦手で、おまけに口下手。
だから気付けば、主人公どころか【悪役】ポジションになっていた。
『ベアトリス・バレリー。この場で、お前との婚約を破棄する。さらに王都から追放し、大鉱山での強制労働を命じる!』
聖女ベアトリスは、突如として許嫁の王子に婚約破棄を言い渡され、あずかり知らぬ罪で追放された。
伯爵家出身の聖女として、そして王太子婚約者として、なに不自由ない生活を送っていたのが嘘のように……。
今は薄汚れた服を着て、毎日馬車馬のように働かされている。
「もう耐えられない! どうして私がこんなことをしなきゃいけないのよ!」
寒空の下で洗濯をしていたベアトリスは、とうとう堪忍袋の緒が切れて叫び散らした。
山積みになった洗い物をひっつかみ、怒りのまま地面に叩き付け、布地がズタズタになるまで踏みつける。
ベアトリスは自らの転落人生を思い返し、憎しみを込めて叫んだ。
「私は……私はっ、絶対、こんなところで終わらない! 今に見ていなさい! 私を陥れた奴ら全員まとめて、復讐してやるんだから!」
これは、シンデレラストーリーの主人公になれなかった悪役聖女の、断罪から始まる人生やり直しの物語。
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