*終

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*終

 小さな偉大なる魔法使いが一人の銀髪の青き目の狩人と生涯を約束してから10数年の時が流れました。  初めてのお使いで雪と氷の攻撃魔法を習得したミニョンは、あれからめきめきと魔法の腕をあげていき、あらゆる攻撃魔法も習得していきました。  加えて薬草にもとても詳しくなったので、魔法だけでなく薬草の力でも色んな人たちの役に立つ本当に偉大なる魔法使いになったのです。 「ミニョン! いま帰ったぞ!」  大きな杉の木の根元に作られた小屋に、一人の銀髪の狩人が獲物を抱えて帰って来ました。獲物は大きな鹿です。 「おかえり、サリュ!」  サリュの声に待ち構えていたように家から金髪の美しい緑の目の若者が飛び出してきました。  ふたりは当たり前のように抱き合い、そして口付けをします。これがふたりの帰宅の挨拶なのです。 「お腹空いてない? ケーキを作ったんだ。一緒に食べよう」 「そうか、どうりでいいにおいがミニョンからすると思ったら」  そう言いながらサリュはもう一度ミニョンの頬に口付けをします。ミニョンはそれをくすぐったそうに受け止め、お返しとしてサリュのよく日に焼けた頬に口付けをしました。 「昨日、お師匠様から新しい魔法茶の葉っぱが届いたんだ。それも一緒に飲もうよ」 「いいな、そうしよう」  ふたりはくすくすと笑い合いながら手をつなぎ、ふたりの家へと入って行きます。甘い良いにおいのする、偉大なる魔法使いに教えてもらったケーキの待つ家へ。  こうして偉大な魔法使いの弟子だった小さな魔法使い見習いは、立派な魔法使いになって本当の本当に愛しい人としあわせに暮らしましたとさ。 <終わり>
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