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マロンが天才に「ちょっとあたしの友達に何?」と言って力強い歩みを引き留める。
すると天才は低いため息を吐いて、言った。
「小栗の友達?おまえそんな近くにこんないいのがいんのにモデル探しに苦労してんじゃねえよ」
………えっと……は?
「は?」
マロンがわたしと同じ反応をする。そりゃそうだ、この人何言ってんの?
「こいつをショーモデルにするっつってんの」
「は!?」
サアーッと血の気が引いていく。
いきなり話しかけてきていきなりこんな場違いなところに連れてきて、さらなる冗談はやめてくれ。笑って済めない。
「ちょっと待ってよ、この子に人前に出て何かする度胸ないわ!」
どどーんとマロンが言う。ううっ…その通りだけどはっきり言いすぎだよあなた。好き…。
「あほか。モデルなんて着飾ってただステージ歩くだけだろ」
「いやいやいやいやいや、だけって!そうだけど、だけって!」
思わずついに言葉を発してしまった。
ぎろりと切れ長の目で見下ろされる。端正な顔立ちでも有名なこの天才に睨まれる日がくるとは思わなかった。
とりあえず、とにかく手を早く放してもらわないとこの場を立ち去れない。
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