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睨んでくる視線に対して、手を放せと念を送る。
これじゃあ明日は人生初のうわさの的にでもなりかねない。それほど話題になる人なんだこの人は。一緒にいたくない。わたしの人生に登場するような人物じゃない。
「おまえさあ」
気だるげな声。さっきから掴んだままでいるわたしの腕を自分の目線まで持ち上げる。
今度はなに!?いちいち行動が予測できない。
「なんだよこの爪。服も、髪も、化粧も。努力してないのに捻くれてんじゃねえ」
「な、」
「おい堀川、ネイルセット貸せ。おまえは手を貸せ」
「は…」
近くにあったイスに無理やり押し込められるように座らされる。意味が解らな過ぎて何もできずにいると、今度は手を捕まれて甲を向けられる。
ホリカワ、と呼ばれたロリータファッションの女の子が「はいどーぞー」とのんきな声でネイル道具一式を机の上に置く。え、ちょっと待って。
「飲食店でバイトしてるからネイル禁止なんだけど!」
「学園祭の期間は休め。それかやめろ。トータルコーディネートだからネイルまでできないと困る」
「いやわたしの生活が困る!」
ねえ本当にこいつ誰かどうにかしてよ…!ぜんぜんあきらめてくれないんだけど…!だいたいどうして、何を間違ってこうなった?
これ以上この意味わかんない状況を続けられたら頭が爆発する。
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