156人が本棚に入れています
本棚に追加
なんつう顔って…下の中だけど…そんなに、ブスが生きてたらだめですかね。
「さっきも言ったけど、何の努力もしてないのに自分のこと下に下げてあきらめてんじゃねえ」
「……っ」
「あと、誰もが俺みたいに生きてるなんて思ったら大間違いだって言ってたけどそんなこと思ってねえよ。ただ何もしてこなかったヤツに、俺がなんでもできるみたいに言われたくない。いいか、確かに俺は自分に自信がある。今日だってネイルなんか初めて人にやったけど絶対綺麗にできる自信があったからやった。でも、その自信は自分で生み出したものなんだよ。おまえは今まで何もやってこなかったから、そういうの持ってねえだろ」
なんでお説教されてるんだろう。
なんで、こんなことになってるんだろう。
「そう思うなら…どうして、わたしを選ぶの?」
ただ廊下を歩いていただけ。この天才とはすれ違っただけ。なんの関わりもなくて、天と地ほどの差があって、見上げることすらないと思っていた。
それなのに、今、この人と向かい合っている。
ネイルされた。この人が初めてすることを、わたしにした。
「せっかく誰かに与えられた人生っつう一度きりの道をつまんなそーな顔して歩いてる姿がシラけたから」
情けないものを見るかのように言われてかっと熱くなる。
わたしの平和だった平凡な灰色エブリデイ。そこに、嫌でも図星だと気付かせてくる爆弾を放り込まれた。
最初のコメントを投稿しよう!