collect 1.爪先にハイイロカラフル

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ああもう、なんで初めて会った人に、自分じゃない人に、こんなこと言われなきゃいけないの? わたしが努力せず今のままで充分だって思ってるだけで、誰かに迷惑かけた?この人をシラけさせたのがそんなに悪かった? 「わたしを見てシラけるなら放っておいたらいいじゃん。わざわざわたしみたいなやつにモデル頼まなくたってあんたにプロデュースされたい人はたくさんいるよ。誰だって、あんたの手にならかかりたいって思ってるよ…!」 きっとこのクラスにもわたしのクラスにも他校にもプロの中にもいるはずだ。 だってあんたが創るものはいつも、すごいもん。かわいかったり、きれいだったり、繊細だったり力強かったり…様々な世界観を持っていて、それを確実に表現して、持ちものすべてで才能を見せつけてくる。 今まで人とこんな言い合いしたことない。いや、ただこっちがわあわあ言っていただけなのかもしれない。 だって天才は、わたしの言葉を聞いて不敵に、満足そうに微笑んだ。 ── とても、儚い笑みだった。 「じゃあおまえもそう思ってるってことだ」 そして、うれしそうとも捉えられる。 「や、そうとは言ってな…」 「でも誰でも思ってるんだろ?それって自分もそうだから言ってんじゃねえの?」 「自信過剰…!」 「自信がないとやってけねえからな」 何を言っても言い返されて埒があかない展開に頭を抱える。
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