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「あ、うわさのジミーちゃんだ」
「おはよー!なんだ、きっとこんなにうわさになったことなさそうだから心配してたんだよー。キョーカなんて駅まで迎えに行ってるはずだけど一緒じゃないの?」
「へ…!?」
いそいで携帯を見ようとジーパンのポケットに手を入れる。だけど手袋のせいで上手くとれない。でも手袋は外したくなくて苦戦しているとクラスメイトがけらけらと笑いながら取り出してくれた。
「パスかけてる?見てもいい?」
「あ、うん。パスはかけてないよ」
「かけなよ!あはは、ジミーちゃんはおもしろいなあ。手袋とりたくないなら見るよ?」
「お、おねがいします…」
あれ…予想していた反応とだいぶちがって困る。
もっと、嫌な目を向けられると思ってた。
「あ、ほら。今どこにいる?駅まで行くから!ってメッセージ入ってるよ」
「ほ…本当だ…」
キョーカごめん、携帯あんまり見ないから。
自分で返事をうちたくてやっと手袋をとる。右手のほう。灰色に染まった爪が目についたけど、気にしない気にしないと呪文みたいに心の中で繰り返した。
メッセージを返すより電話したほうがいっか。
もう戻ってこないとキョーカが遅刻になってしまう。
いそいで電話をかけると、1コールで出た。
≪もしもしジミーちゃん?どこにいる?≫
「ごめん、わたしもう学校に来ちゃって…」
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