156人が本棚に入れています
本棚に追加
えー!!と大きな声が流れてきてあわてて携帯を耳から離す。みんなけらけら笑ってる。
もっと何か言われるかと思ってたのに、キョーカなんてわざわざ駅までわたしを迎えに行ってくれて…そんなやさしさが沁みる。
「ごめん今行く…!」
≪ええっ、いいよ、走っていくから教室で待ってて!これ以上人目につきたくないでしょう?ひとりでよくがんばって教室まで歩いたねえ≫
泣きそうになった。ごめんね、自分が恥ずかしい。
「ごめんキョーカ…」
≪いいって!うちが勝手にしたことだし!ちょっと待っててねー。昨日の天才との話し、興味あるから詳しく聞かせてっ≫
「ミーハー…」
≪そこ、うるさいぞ≫
そう言い残して電話を切られた。
教室で待ってていいって言われたけど、それはだめだと思う。
でもまず…まず、この心のもやもやを晴らしたい。
「みんな、ごめん…!」
がばっと頭を下げる。なぜか、昨日真剣にモデルを頼んできたあの天才のことが頭に浮かんだ。
「どーしたのジミーちゃん」
「あの…」
ジミーちゃんってあだ名も、愛嬌があるねって言葉も、なんだかからかわれている気分でいた。本当は、ずっと。
「もっと、嫌なこと言われるかなって思ったら…みんなやさしくって…びっくりした…」
あの天才のせいでサイアクな毎日が待ってると思ってたさっきまでの身構えていた自分を引っ叩きたいよ。
最初のコメントを投稿しよう!