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その放課後、昨日無理やり交換させられたメッセージにあの天才の名前が浮上してかなり汗をかいた。冷や汗だよ。
どこかで昨日のことは夢だとか勘違いとかだったらよかったって思っていたし、1日経って考え直してる場合もあるって希望を持ってたんだけど、そんなことなかったみたい。
指定のプロデュース科の教室に行く気になれなくて教室で学園祭に出すデザインをうだうだ描いてると、キョーカが「怒られちゃうよ~」とからかうように言ってくる。
メッセージが届いてからもう1時間経ってる。
デザイン画はあんまり進んでいない。もう行かなきゃ、絶対怒ってるよ。でも携帯を見る気になれない。
「やっぱり引き受けなければよかった」
やっぱり変えられないとあきらめてこのままのわたしでショーに投げ出されたらどうしよう。
「でももう引き受けちゃったんでしょー?それは無責任だよ」
「うーん…」
無責任、だよね。解ってるんだけど。
「こわい…」
クラスメイトは優しかったけど、他の人は違う。そして、わたしも違う。
仮にわたしが本当にショーに出ることになっちゃった時、マロンに迷惑をかけるかもしれない。がんばっていて、才能もある人たちのせっかくの舞台をだめにしちゃうかもしれない。
デザイン画を描くために手袋を外した手を見て、深く息を吐く。
左手を見て目をキラキラさせた後「なんでこっちは灰色なの?」ってキョーカが聞いてきた。
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