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なんだっけ…こっちもカラフルにしてほしいってわたしから言わせてやるよ、だっけ。
ぜったい言わないと思う。
その話しをしようと口をひらいたけど
「俺よりこわいものがあんのかよ」
頭の裏側をさらりと撫でてくるような低い声がして話せなかった。
顔をあげると教室に入り口に寄りかかっている天才の姿が少し先にあった。思わずイスを引いて立ち上がりキョーカの背中に隠れる。
まさかプロデュース科の天才がデザイン科の落ちこぼれなんかを目当てにここまで来るとは…。キョーカも目をまあるくしている。
「あ、あんたよりこわいものくらいたくさんあるし!」
「ステージがそんなに恐いかよ」
「だってわたしはあんたみたいに人に注目されたことなんてないもんっ」
「ないもん!じゃねえ、やってみなきゃわかんねーだろ」
な、なんで近づいてくるの…!
背中を借してもらってるキョーカを道連れにしてじりじりと後ろに下がっていく。でも天才は容赦なしに追いかけてくる。教室にまできて、なんなの。
「わたしじゃなくたっていいじゃない…!」
たくさんいるでしょう。キョーカだったらきっと喜んで引き受けると思う。
なのにどうして…ああ、シラけるからだっけ?なにそれ。人のことバカにしてるだけでしょう。
「昨日からうっせえな…」
棘々しい声でつぶやいてぎろりと睨みつけてくる。
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