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「な、なに」
「髪、昨日の方がまだマシだったな。ぼっさぼさ。女としてどうなの?」
昨日は髪を巻いたけど今日はあんたのせいで髪の準備をしようっていう思考にならなかったんだよ…。今日はデートもないし、別にいいんだ。
さらにぐちゃぐちゃかきまぜるようにやらないでよね。
その手を振り払いながら「気安く触らないでよ」と言うと鼻で笑われたからむかつく。
くるりと背中を向けられた。先に戻るのだろう。さすがに校舎を一緒に歩いたりはしたくないからちょうどいい。…行ってやろうじゃん。お手並み拝見してやろうじゃん。って、言ったら何様だよって言われそう。
「キョーカ、ごめんね」
へなへなと座り込んでいるから立ち上がらせると「天才マジかっこいい…」とつぶやいた。目がハートになってるよ。
「なあ、これおまえが描いたの?」
「え……あっ!」
ぎゃあ!ちょっと待ってなに勝手に見てるの!?
自分の机に置きっぱなしだったデザイン画を天才に見られてしまった恥ずかしさに倒れそうになった。
駆け寄って奪うように取り上げると「へえ」と低くつぶやかれる。
なに、その含んだような言い方。
どうせ「才能ねえなこいつ」とか思ってるんだろう。
「まあいいや。さっさと帰り支度しろよ」
「へ?いやいやいや、あんたと歩くなんて無理だって!」
先に行ってくれると思ったのに律儀に待ちはじめた。
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