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でもなあ…と去年とある先輩が作っていたドレスを思い返す。
ステージ上で何着も紹介された中でも一番惹かれたのが、ほわっほわ洗顔クリームみたいに立体的に広がるプリンセスラインのウェディングドレスだったんだ。
それはもう息をのむほど可憐だった。モデルさんの雰囲気にもぴったり。…と思ってたら、そのモデルさん自身で作ったものだった。
要するに提出用に作るなら、自分が似合うようなものが一番なんだと思う。試着も自分でするし、制作者紹介もされる。
そのときに並んでるのが作品のイメージとかけ離れてたらけっこう残念がられたりするんじゃないかな。
わたしの場合同じ背丈で違う科に入ってるマロンにステージには上がってもらうってすでに1年のときからすでに頼んでいるけど、その隣に並ぶのがジミーなわたしなら、作るものはシンプルに限るよね。
「そんなことないと思うけどね」
改めて(小栗おぐりって苗字だからこう呼んでいる)マロンにモデルを頼みにいくと、ふんわりと巻いたボブの毛先をいじりながらそう言われた。
「でもわたし派手なの作るキャラじゃないじゃん」
「ふうん。まああんたがいいならいいけど」
かわいい顔してさっぱりした性格だ。そこが好きだなあって思って、気づけば1年の頃からクラスが変わった今でも仲良くしてもらってる。
マロンとわたしの中間地点。そんなイメージで衣装も作ればいいかな。
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