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横ではあ、と深いため息をつくマロン。
「モデルが決まらないと何もできないもんねえ」
テーマを決めてからモデルを探すこともあるけど、だいたいのチームがモデルの雰囲気でテーマを決めるし、モデルの体型で服の生地の寸法が決まる。テーマに合わせてすべての物を作っていくからまずはモデル探しを早く終わらせたいというのが本音だろう。
「モデル候補を紹介するたびに「いやちがう」「おまえらこんなん使って何したいんだよ」とか言ってくるくせに自分はまだ一人も候補連れてきてないんだよ？頼める人脈もないくせにえっらそうにぃい～～〜！」
うわあ、ご立腹だ。美人が怒ると迫力がちがう。こわいし、けっこう冷静で温和なマロンをこんなにまでしちゃう天木千歳がすごい…。
それにしても、いいなあ。なんて、思ってしまった。
そのせいで悩んでいる人に、早く決まるといいね、と当たり障りのないことしか言えなかった。
わたしはデザインの勉強をしてるけど、自分が才能のない凡人だってことはこの１年半で痛感している。それに比べて、マロンは成績優秀であの天才をライバル視してる。そもそもプロデュース科なのがすごい。
１年生のころクラスが同じだったからマロンの才能はよく知ってる。きっと就活をはじめたら即採用されるだろう。
いいなあ。
と、友達に思ってしまう自分が情けなくて嫌い。
でも自分らしいなとも思う。
そんな自分はもっと、もっと嫌い。
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