collect 1.爪先にハイイロカラフル

8/17
前へ
/179ページ
次へ
わたしはうしろ向きのまま廊下を足早に歩かされる。 危ないんだけど前を向くのがこわい。本当にあの天才だった?幻覚かもしれない…なんてことあるわけない。 じゃあなんで!? 関わる要素がまるで見当たらない。わたし、どこに連れていかれるの!? 予想もしていなかった出来事に頭がついていかない。ただただパニックになっていると、わたしを連れて歩いていた足が止まった。 背中と背中が当たる。やっと、おそるおそる前を見ると、あの天才の後ろ姿が目の前にあって、ひっと悲鳴がもれそうになる。 落ち着いて!なに、なに何の用!?なんかしたかな。でもジミーなこの人生、こんな人になにかするほど大きなことはしていない。 立ち止まったと思ったら、すぐ横の教室のドアを開けはじめた。そしてそこの中にわたしごと中に入っていく。 「ちょっなに!?」 いい加減にして!ここ。プロデュース科の教室じゃない!マロンに用があっても入ったことないのに! 「あれ、あんた天木と何してんの?」 さっきまで一緒にいたマロンがぽかんと話しかけてくる。ぽかんとしてる場合じゃない。こっちが聞きたいっ…何が起こってるの? ふるふると首を横に降って、とりあえず自分でもよくわかっていないことを全身で伝える。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

156人が本棚に入れています
本棚に追加