218人が本棚に入れています
本棚に追加
やっと見つけた
たった一年一緒に住んだだけだけど、ずっとお前を探していた。
小さかったお前が俺を見て笑ってくれた時、感動で胸がいっぱいになった。
あれから13年・・・・・一時も忘れた事はない。
「 嵐、元気だったか?」
「だれ?」
「俺、俺だよ・・・・・永尾 蒼志」
「永尾 蒼志?」
「忘れた?」
「だれ?」
「お前の兄ちゃん」
「・・・・・?」
「思い出した?」
「悪いけど俺、兄弟いないから・・・・・誰かと間違ってます」
「本当の兄弟じゃなくて、義理の兄弟ってやつ」
「なにそれ?ナンパしてんの?義理もいないから、他当たって」
「お前さ、俺のことよく見たか?俺の顔」
「見たよ」
「で?どうだった?」
「見惚れた」
「それはわかってるんだよ、じゃなくて・・・・・気が付かないか?」
「なに?」
「この顔、覚えてないか?ほら、よく見てみろ」
「あのさ、見たけど知らないって言ったよな。
仕事の邪魔、うざい、あんたの顔なんか見たくない」
「俺の名前は?聞き覚えはないか?永尾 蒼志」
「ない、さっきも聞いた」
「なぁ、 嵐・・・・・思い出せよ」
「思い出すもなにも、知らない奴思い出すわけないだろ」
「だったらさ、お前の母親の再婚相手は覚えてるか?」
「そんなの、いちいち覚えてないね、何回結婚したと思ってんだ」
「じゃぁさ、その中で毛色の変わった男居ただろ?」
「サァな、いろんな男を連れてきたから覚えてない」
「スーツ着た男、覚えてないか?毎朝スーツ着て仕事行った男」
「スーツ?・・・・・」
「そう言えば、一人いたな。毎回チンピラみたいな男だったのに、一人だけ真面目なメガネ男だった、そいで毎日スーツ着てた」
「だろ?思い出したか?」
「うん、だから何だよ?」
「その男の名前は?」
「知らん、いちいち覚えてねーよ」
「だったらさ、その男の息子は?」
「息子?子持ちか?子持ちとは一緒にならなかったと思うけど・・・・・」
「お前は・・・・・その息子にキスされたの忘れたか?」
「キスされた?俺が?」
「そうだ、思い出したか?」
「いや、覚えてない。キスなんてされた覚えはない。誰か他のやつじゃないか?」
「間違うわけないだろ、信じられない馬鹿だな、真っ赤になって抱きついて来たくせに忘れたってのか?」
「悪いけど、お前の話に付き合ってるほど暇じゃないから、帰れ」
「アァ、そうかよ。もういいよ。
また来る、それまでに思い出しとけよ」
「とっとと帰れ、二度と来んな」
最初のコメントを投稿しよう!