やっと見つけた

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やっと見つけた

たった一年一緒に住んだだけだけど、ずっとお前を探していた。 小さかったお前が俺を見て笑ってくれた時、感動で胸がいっぱいになった。 あれから13年・・・・・一時も忘れた事はない。 「(らん)、元気だったか?」 「だれ?」 「俺、俺だよ・・・・・永尾 蒼志(ながおそうし)」 「永尾 蒼志(ながおそうし)?」 「忘れた?」 「だれ?」 「お前の兄ちゃん」 「・・・・・?」 「思い出した?」 「悪いけど俺、兄弟いないから・・・・・誰かと間違ってます」 「本当の兄弟じゃなくて、義理の兄弟ってやつ」 「なにそれ?ナンパしてんの?義理もいないから、他当たって」 「お前さ、俺のことよく見たか?俺の顔」 「見たよ」 「で?どうだった?」 「見惚れた」 「それはわかってるんだよ、じゃなくて・・・・・気が付かないか?」 「なに?」 「この顔、覚えてないか?ほら、よく見てみろ」  「あのさ、見たけど知らないって言ったよな。 仕事の邪魔、うざい、あんたの顔なんか見たくない」 「俺の名前は?聞き覚えはないか?永尾 蒼志(ながおそうし)」 「ない、さっきも聞いた」 「なぁ、(らん)・・・・・思い出せよ」 「思い出すもなにも、知らない奴思い出すわけないだろ」 「だったらさ、お前の母親の再婚相手は覚えてるか?」 「そんなの、いちいち覚えてないね、何回結婚したと思ってんだ」 「じゃぁさ、その中で毛色の変わった男居ただろ?」 「サァな、いろんな男を連れてきたから覚えてない」 「スーツ着た男、覚えてないか?毎朝スーツ着て仕事行った男」 「スーツ?・・・・・」 「そう言えば、一人いたな。毎回チンピラみたいな男だったのに、一人だけ真面目なメガネ男だった、そいで毎日スーツ着てた」 「だろ?思い出したか?」 「うん、だから何だよ?」 「その男の名前は?」 「知らん、いちいち覚えてねーよ」 「だったらさ、その男の息子は?」 「息子?子持ちか?子持ちとは一緒にならなかったと思うけど・・・・・」 「お前は・・・・・その息子にキスされたの忘れたか?」 「キスされた?俺が?」 「そうだ、思い出したか?」 「いや、覚えてない。キスなんてされた覚えはない。誰か他のやつじゃないか?」 「間違うわけないだろ、信じられない馬鹿だな、真っ赤になって抱きついて来たくせに忘れたってのか?」 「悪いけど、お前の話に付き合ってるほど暇じゃないから、帰れ」 「アァ、そうかよ。もういいよ。 また来る、それまでに思い出しとけよ」 「とっとと帰れ、二度と来んな」
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