生家だYO

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生家だYO

 曾祖父の件で、地元警察署を訪れるのは、まだ早いと思われた。  さしあたって、島原は実家に顔を出そうと決めていた。  同行夫婦が、不自然に盛り上がっているのも問題だった。  リムジンの座席で、だだ甘なポッキーゲームに興じている有様だった。  リムジンはいつもの奴で、飛行機の格納庫に乗せて運んできたのだった。 「んー♡きゃあ♡降魔さん♡甘いでしゅ♡まるで私の心を満たすようでしゅ♡あとキスは駄目でしゅよ♡当たりましたよ♡」  諫早君はベッタベタのドロッドロになっていた。 「積極的に貪ってたのは誰だ?寸止めの危うい感じがいいんじゃないか♡可愛いメス蛇ちゃんめ♡」 頬を指でサワサワしていた。  今まさに熱愛中の馬鹿夫婦は、島原達を完全に忘却し、2人だけの世界に迷い込んでいた。 「さあどうでしょう♡次は、私でしゅ♡」 「俺の可愛いメス蛇ちゃん♡完全に食ったら、ポッキーゲームにならん訳だが♡」  馬鹿も嫁も、ハアハアしていた。 「甘いでしゅ♡まるで降魔さんのキスみたいに♡どうぞ召し上がれ♡」  馬鹿2人はもう言葉も忘れ、その場でヘビーペッティングをおっ始めていた。  タイトスカートを捲り上げ、おっぱいを鷲掴みながら、舌を絡ませていた。  盛り上がった諫早君は、馬鹿の腰に足を巻き付かせていた。黒い、卑猥な下着が見えていた。  志保がコホンと咳払いをしたので、島原は言った。 「そろそろ、いい加減にしてもらえないか?」  島原は、隠し持っていた拳銃の、安全装置を外していた。 「申し訳ありません。完全に管理官の存在を失念していました。私のボルテージはどこまでも上昇し、最早レッドゾーンを越えてしまいました。双子ちゃんで塞がってしまった子宮に至る道程に、肉感的な摩擦を欲してたぎっております」  要するに、やりたいと言っていた。この毒蛇妊婦は。 「流石に不味いだろう諫早。島原も安全装置外してるしな。モジモジジタバタしちゃって、パンツ見えちゃってるぞ?ああスラーイド言いたい♡」  こいつも、やりたいと言っていた。 「そもそも、何故その格好だ?マタニティードレスは?」  産休中のはずだった。タイトスカートの出る幕はない。 「ああ。タイトスカートプリンと捲り上げて尻にむしゃぶりつくのが、俺の最近のマイフェイバリットだった。チョコレートも甘いし、諫早可愛いし」  俺のマイフェイバリットって、頭痛が痛いのか?  たまに、こいつはこう言うことを解っていて言うのだ。  大学時代、「おい島原。こいつはミスターアンダーソンさんだ」  とか言っていた。エージェント・スミス(ヒューゴ・ウィービング)気取りの発音で。 「もう♡降魔さんがカッコよすぎるんでしゅ♡しゅき♡しゅきしゅきしゅてき♡」  うんうん。と頷きながら、我が国の馬鹿の総大将は、諫早君の頭を撫でていた。諫早君はキュンキュン顔をしていた。 「見ろ島原。諫早可愛いだろう?よく解らんが引っ張られるんだ。何故か」  馬鹿がシートに引っ張り込まれていった。 「ンキュウウウウウ♡ああ♡3人目の赤ちゃん♡出来ちゃいましゅ♡」  おっ始めたな。馬鹿共が。  拳銃片手に覗き込み、3発発砲した。  プロポーズされたけど、よかったのかしら?これで?  天草志保は、釈然としなかった。
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