罪のきおく

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「オレらも行こっか」 「うん」 同じ電車に揺られて航希と乃亜は帰宅した。ちょうど運よく空いた二人分のスペースを航希は奪うように座った。 「乃亜はさ」 航希はスマホをいじりながら話す。 「オレが学校でバンドメンバー募集してたの知らなかったの?」 「知ってたよ。校内の掲示板とかに貼ってあったし」 「じゃあ、なんでドラムやろうと思ってくれなかったんだよ」 「だって、受験に専念しようって決めてたから」 「そっか。まぁでも、やってくれてサンキュな」 「あんなに頭下げれたら……ね。」 乃亜は苦笑いをした。 「オレそんな頼みこんだっけ」 航希は後頭部をかいた。 「ほんとに忘れっぽいよね」笑う乃亜の口には歯科矯正の器具が光っていた。 「でもね、誰かと思い出を作るって素敵なことだなって思ったの」 「ほうほう」 「家にいるだけじゃ思い出は作れないしね」 「うんうん」 航希はテキトーに相づちをうちながら、ピアたんにDMを送っていた。 「それに何よりさ」 乃亜の気配が変わった。 「元カレの頼みだしね」 航希はスマホを触る手をとめた。
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