罪のきおく

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【4】 何度連絡しても、乃亜につながなかった。 乃亜の友達である吹奏楽部の女子たちに聞いても、彼女たちもまた何も連絡がつかないという。 「くそーーー! どうすんだよ」 航希は壁を蹴った。 体育館のステージ脇の待機所、航希と燈矢は焦りに焦っていた。 すでにステージ衣装に着替えている。 ステージの上には、マイクスタンド、ギター、アンプセット、ドラムセットとすべて用意されている。 体育館は満員に近い生徒たちのオーディエンスがすでにその時を待っている。 テレビ局の本格的なカメラは設置されていて、取材班との打ち合わせもすましている。 舞台は整っているのに…… 時刻は、1時25分。スタンバイの時間だ。 「どうしよう、航希」 燈矢の声はいまにも泣きそうだった。 「しょうがない。ドラムなしでやろう」 「そんなの無理だろ」 「やるしかないだろ。いくぞ」 航希は覚悟を決めた。唇を結んでステージへの小階段に足をかけた。 そのときだった。 すべての照明が落ちた。 暗闇の中、観客の生徒たちは期待の声を響かせる。 ライブ直前の独特の空気が体育を包む。 おかしい。航希は違和感を覚えた。ステージの照明すら点いていないのだ。これではセッティングが難しい。 調整室にいる係のミスだろうか。 さらにステージの壁には巨大なスクリーンが下りてきた。こんな演出聞いていない。 とまどっていた航希は、スクリーンに映し出された映像を見てさらにパニックになる。
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