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『ハハハハハ、ツバをトッピングでーす』
『人類よ。斗夢のツバ入りソフトクリームをめしあがれ』
血の気がひいていく。航希はめまいがした。
その映像は、ビュッフェのソフトクリームの機械にイタズラをする斗夢と航希の映像だった。
斗夢が機械のフタをとり、供給口にツバを吐いているものだ。
その動画のせいで斗夢は逮捕されたのだ。
航希が逮捕されなかったのは、実行犯ではなく、撮影者だったからだ。
だが、なぜか、この映像には斗夢と航希の姿が映っている。
つまり、第三者である別の誰かが撮影しているのだ。
体育館はさっきまでとは別のざわつきがはじまった。
教師たちは騒ぐ生徒たちを静かにさせようと躍起になっている。
テレビ局のカメラマンたちはプロ根性からなのか、その映像を逃すまいと撮影をしているのが分かる。
くそおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
航希は髪をかきむしって発狂した。――誰がこんな映像を。もうオレの人生終わりじゃないか。
どうしよう。とにかくまずはこの映像をとめなければ。
スクリーンには同じ動画がリピートでくり返されている。
航希は調整室へと走った。
狭く急な階段を急いで登る。ドアノブをつかみ、派手な音を立てて扉を開放した。
「今すぐこの映像を……え、なんでおまえが」
航希は茫然とした。
そこには乃亜がいたのだ。
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