罪のきおく

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【3】 「すげーよ!乃亜。まじかよ!」 演奏を終えた航希は興奮していた。 乃亜をメンバーにいれて初めての音楽スタジオ入り。 ドラムセットの椅子に座る乃亜を見て、航希は胸を躍らせていた。 「もう3曲とも叩けるようになるなんて天才だよ」 航希はレスポールギターをスタンドに置いた。 「うん――」 ベースの燈矢が関心してうなずく。 「――しかも、リズムも安定してる。同じリズム隊として頼もしいよ」 「そんなに褒めらると照れるな」 乃亜はアップにした髪の毛をなでた。学校とは別人のようなオーラを輝かせていた。 練習は予想よりも順調にいった。 乃亜は本当に音楽に精通しているのだと航希は感じていた。 バンドスコア(楽譜)を渡すこともなく、彼女は耳コピだけで曲を習得してきたのだ。 しかもたったの一週間で。 「よし、ラスト一回通したら今日は終わろうか」 航希は肩をまわした。 「オッケー」  カッカッカッカッ 乃亜がスティックでカウントをとった。
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