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 いい子だ、自慢の娘だと、おめでたい家族の言葉が欲しくて、わたくしは山のように、嘘を重ねてきたんです。  知らないうちに、そいつは逃げられないほどうずたかくなって、なのにわたくしは目を向けないままで生きて、その場しのぎだけが上手になりました。  気が付いた人は諭そうとしますが、ほめられたくて必死だったから、そんな声など耳に入りませんねぇ。  嘘を信じ込ませて、いいように使って、あとには何も残らないんだってわかっていて、それでもやってきたんですよぉ。  信じるほうが悪いんですよぉ、ねえ。  疑うことを知らないって奴は、そういう生き方がお似合いなんですよぉ。    ああ、それにしてもよく降りやがる。  うるさいし肌寒いし、にゃあにゃあと煩くて、とてもじゃないけれど眠れやしない。  どんよりと曇った部屋に住んでいる、痛々しいほど肥えた女でもまだ価値があるってことがせめてもの幸いですが、若けりゃいいってもんでもないくせに、考えるほど複雑で、ついついこうして愚痴ばかり。
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