SP缶助&白柴りんの出動日記2

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「長谷川!犯人を担げ!テントまで戻るぞ!」 後ろを振り返ると、火の灯りが微かに 見える、あの火が無かったら 方角がわからなかっただろう。 さすが隊長だ。 テントまで戻ってきた、がどうやって下と 連絡を取るのか.........しかしそこは隊長だった。 高出力携帯無線機を持って来ていたのだ。 無線機で下の待機所に連絡を入れる、が...... 電波が届かないようで応答がない。 「コリャ少しでも高い所に行かなきゃ 電波が届かないぞ」 すると、隊長、長谷川さん、加納さんが 一斉に僕を見た。 「やっぱり、ここは一番若い者だよな......... 木に登るのは............」 「はい?若者と言うと............僕ですか?」 「そうだ!缶助しかいないだろ! そこの木が登りやすそうで高いぞ! それに登っていけ!缶助!1分1秒を争うんだぞ 人ひとりの命がかかっているんだ! いけ!缶助!! 繋がったら犯人が大怪我をして出血多量で 命が危ないから、すぐにヘリをよこして欲しい と言うんだ!場所は灯りを点けてわかりやすく しておくからと言うんだ!いいな! ほれ!行け!!缶助!!」 人命尊重で、この中で一番若い僕が木登りを する事になった。 しかし、本当に登りやすく、すいすい上に 上がれた。 木の中腹に、枝分かれしている所に 腰掛け、無線機を使ってみた。 しかし、まだ応答がない。もう少し上に上がる 何メートルくらい上がったのだろう、 下の火が小さく見えるだけで、高さの 感覚がわからない。そこでもう一度 無線機を使ってみる、今度は通じた。 状況、方角を説明して一刻も早くヘリで怪我人を収容してくれと連絡をした。 場所がわかるように何か灯りをつけてくれ と要望があった。 ヘリが来ると言う事で急いで火を消し懐中電灯を 上に向けて照らす。 遠くにヘリの音が聞こえて来てそれが徐々に 近づいて来た。 ヘリが灯りの頭上に来た当然だがヘリの ダウンウオッシュが強烈だ、 救急隊員がバスケットストレッチャーと共に クルクルと回転しながら降りて来た。 ストレッチャーに怪我人を乗せ 子供を救急隊員が自分の身体に縛り付ける。 時間が勝負、ストレッチャーを吊り下げたまま 下の駐車場まで飛んで行った。 「何とか救助できたな、犯人の命も大丈夫だろう 後は俺達が無事に下まで降りられれば 万事解決だ!もう少しで明るくなって来るだろうからそれまで小休止だ! それにしても、りんは大したもんだ 先輩警察犬を差し置いて無事に子供も犯人も 発見した、コリャこれから出動が多くなりそうだな、覚悟しておいた方がいいかもな」 隊長が冗談ではすまないような事を言い出した。 「しかし、隊長?りんは立て籠もりの家の 中をぐるぐる回っていたのは何だったのでしょうか?」 「多分犯人も警察犬が来る事を予測していたんだろうな、多分逃走路を混乱させるために 窓という窓に何かの匂いを付けていたのかもな でもりんはそれを見破った。本当の逃走窓を 見つけた」 「犯人は、何で怪我したのでしょうか?」 「逃げるときに何らかが腕に刺さってしまった それが結局、致命傷になった、犯人にしたら 誤算だっただろうな......... 缶助、相棒とは信頼関係で結ばれる その事を心に留めておけ、りんはお前の事を 信頼し切っているんだ、だからお前もそれに 答えなきゃな」 「はい」 りんが僕のことを見上げている。 しゃがみ込んでりんと同じ目線にして 「ごめんな、りん!僕が中途半端で......... これからもよろしく頼むよ」 りんをまた抱きしめた。 あたりが明るくなって来た。 4人と1匹で山を降りる、りんは長谷川さんが 印を付けた通りに先頭を歩いて行く。 まるでいつもの散歩道のように.........。
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