SP缶助&白柴りんの出動日記2

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ヘリでひとっ飛び!数十分で奥多摩湖駐車場に 着陸。既に他の警察犬は山中へ捜索に 入っている。 360度木々が生い茂る山が立ちはだかる。 現地警官がビニール袋に入った犯人の遺留品を 持ってきて僕に渡す、それを他の匂いがつかないように、りんに嗅がせ犯人を追跡させる まず、犯人が立てこもっていた家に行き そこで、犯人の遺留品の匂いをりんに嗅がす 先輩警察犬達は裏口から外に出て山の中に 入って行ったという、しかし『りん』は 部屋の中を行ったり来たりしていて 外に出ようとしない、 (やっぱり、まだ無理か?無理なのか?) 内心そう思っていたのは僕だけでは ないだろう、隊長も、長谷川さんも加納さんも 同じように思っているに違いない。 「りん、探せ!犯人の匂いの跡を探すんだ」 りんにそう言ったが相変わらず家の中にを 行ったり来たりしていた、別の部屋に行き そこでも部屋の中をグルグルと回るだけ...... そして、次の部屋に行くとそこでも部屋の中を グルグルと回るだけのりん。 僕が隊長に(りんにはまだ無理だ)と言おうと した時にりんが窓の所で止まった。 その窓は下から1メートルくらいの高さの 窓で、その窓に前足をかけて 「わん、わん」と2回吠えた。 「りん!どうした?この窓に何があるんだ?」 と聞いてみるが、僕もどうしていいか わからなくなってしまった。 その窓は、鍵も閉まっていない、 隊長が 「りん、この窓に何かあるのか?」 と言った後、その窓を開けた、 瞬間、りんがその窓を飛び越え外に出てしまった。 家の中だったのでリードはつけてはいなかった。 それにこの窓は外からは死角になっていて 見えない窓になっていた。 他の警官も、「ダメだこの犬は」 というような顔でりんを見ていたが 隊長もりんの跡に続き窓から外に出て行った。 僕達もすぐに跡を追う。数十メートル先で 隊長とりんがいた。隊長がしゃがみ込んで 地面を見ていた。 「どうしました!隊長!」 「これを見てみろ」 隊長が指を差した先には、赤い液体のような 物が雑草の葉に付いていた。 「加納!鑑識を呼んでこい」 「はい!」 すぐに鑑識が来てその赤い液体を調べた。 「近藤さん、これは人の血液です」 と鑑識さんが言った。 「血液は何型かわかりますか?」 「今すぐに調べます、少しお待ちを」 「長谷川!すぐに犯人の血液型と 子供の血液型を調べてこい!」 と命令を出した。 長谷川さんもすぐに血液型を調べに行った。 「りん!よくやった!よくこっちの方向が わかったな!えらいぞ」 そう言いながらりんの顔を撫でていた。 りんも嬉しそうに尻尾をブンブンと 振っていた。 「缶助!もっと自分のパートナーを 信用しなきゃダメだぞ! りんは自分に自信を持っているんだ、 それをパートナーが信用してあげなくて どうする!」 隊長は、あの時僕が言おうとしていたことが わかっていたんだ、 りんを信用できなかった自分が情けなかった 「ごめんよ、りん」 そう言いながらりんを抱きしめた。
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