小さい女神に何を願うか

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 しかしアニオタの割にはアニオタらしくない部屋だなとも思う。気合いの入ったアニオタの部屋というのは壁中にアニメのポスターを貼っていたり、フィギュアが所狭しと飾られていたり、アニメのBDやDVD、アニソンのCD等が本棚を占領していたり、アニメキャラの描かれた抱き枕がベッドにあったり、いわゆる”痛部屋”状態なんてことも多いのだが、僕の部屋にそんなものはまったくない。せいぜいお気に入りの漫画が小さな本棚に何冊か並んでいる程度だ。痛部屋を作るだけのお金はない。そんなお金があったらそれは友達料に回しているし、売れそうな物があったら友達料の為に売っている。いま本棚にある漫画は本当に譲れない、お気に入りの漫画だけだ。  夜は寝る必要があるので深夜アニメのいくつかは録画して学校から帰ってから観る。もしくはネット配信で観ることにしている。テレビ放送はなく、ネット配信だけのアニメも多い。テレビ録画しているアニメで気に入ったアニメはBDにコピーする。だからアニメBDなどは買わなくてもそれで間に合うのだ。  しばらくして、母が夕食を作ってくれる音がし始めた。そして僕に「じゃあ行って来るから」とばっちりメイクした顔を見せて仕事に出かけた。19時くらいになって温めた夕食を自分の部屋に持って入ってアニメを観ながら食べる。食事が終わると食器を洗い、風呂に入って歯を磨く。それからまたアニメを観る。深夜アニメと言うが、早いものは21時くらいからやっている。  今日はいつもより早目に寝ようと、23時には消灯してベッドに入った。   これが僕の今日の一日だ。いつもに比べて何か大きな違いがあるだろうか? カバ子や林さんの件はいつもと少し違うけれど、だいたいはいつも通りだ。少なくとも”あんなこと”が起こるような前触れはまったくなかったはずだ。しかし、僕が目をつむると何か光を感じた。ん? パソコンの電源をを消し忘れたかな? と思って目を開けると僕の目の前に小さな女神がいたのだ。  あれ? と思った。変だな。僕はもう寝たのか? 夢を見ているのか? しばらくぼんやりとそんなことを考えてを見ていた。すると、は僕を見てにっこりと笑うと
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