小さい女神に何を願うか

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「おめでとうございます。あなたは幸運な人です。私は願い事を叶える女神です。まずは私の存在を信じて下さい。全てはそれからです。私の存在を信じてくれた者の願いをひとつだけ叶えるのです」  とか言い出したのだ。女神とやらの大きさはよくあるフィギュアと同じか、それより少し大きいくらい。髪はショートカットで背中から蝶々のような形をした透明な羽が生えている。スパンコールみたいなキラキラする服を着ていて、後光のような光が射している。女神というより妖精という感じかなあ? と僕はぼんやりと思ったが次の瞬間、 「え!」  と上半身を跳ね起こした。  なんだ? どうした? 僕にはいま何が見えていて、何が聞こえたんだ? 女神? 願いを叶える? 信じる? そんなことが聞こえた。そして妖精のような女神とやらはにっこりと笑顔で僕の顔の前で浮遊している。  僕はまず、右手で頬を叩いた。痛い。耳を引っ張ったがこれも痛い。他にも体中をバンバンと叩いてみた。夢ではないようだ。ということは夢ではないのにこんなものが見えて聞こえているということだ! 「うわあああああ!」  僕は叫び声を上げた。  ついにおかしくなってしまった! 幻覚が見えるようになってしまった!  いやちょっと待て。と、僕は部屋中を見渡した。どこかにプロジェクターのようなものがないか? それがこれを映し出している……なんてものが僕の部屋にあるわけない! ということはやっぱり…… 「おかしくなった!」  と僕はまた叫んだ。  アニメの観すぎか? いじめられているから病んでしまったのか? それともその両方が原因か? とにかく僕は頭がどうかなってしまったんだ! 「嘘だ! 見えない! 何も聞こえない! 俺は正常だ!」  僕は髪の毛をぐしゃぐしゃとかき回しながら叫んだ。すると女神から笑顔が消え、逆にふくれっ面になった。 「嘘じゃない! 僕は神だ! どうして信じないんだ!」  キンキンする声高な大声で言う。やっぱりしっかり見えるし聞こえる! 「いや、違う! お前なんかいない!」  僕は僕でそう大声で言う。  とにかく落ち着こう。明日朝一で母に病院に連れて行ってもらおう。まだ間に合うかもしれない。いや、きっと治る。まだ大丈夫だ。が、そうやって必死に自分を落ち着けようとしている僕のことなどまったく無視するかのように
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