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少しずつ近づいてきた彼女は地面に座り込んだままの僕の前に来て立ち止まった。
僕は地面に目線を向ける。
「ねぇ」
少し低い声で一言声を掛けられる。
「ハイ」
声がカタコトになる。
「フォス、どうして魔獣しかいない森に1人で入ったのか答えなさい」
「えっと……」
声を低くして喋っているアンサスは怖い。
地面から視線を外しアンサスをチラリと見る。
それでも彼女は怒りをむき出しにした視線を僕に寄越す。
「アンサスには……関係ないよ……助けてくれてありがとう……」
そう言い残して僕は立ち上がり森を下る。
アンサスには関係無い――。
そう思いながら森を下っていく。
あと少しで森を下り終わると思った時道の脇にある茂みからガサガサと音がした。
振り向くとさっきより一回りほど小さなウルフがいた。
「うおぉっ!」
驚きのあまり声を出してしまった。
僕の声に反応して振り返ったウルフは僕を見つけて走ってくる。
「φλόγα《フロガ》!」
僕の攻撃は虚しく蹴散らされた。
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