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僕の魔法は誰にも効かない。
僕の魔法が弱いからなのか――。
僕の魔力がないからなのか――。
「φλόγα《フロガ》!」
走ってくるウルフと僕の間に1人の少女が現れた。
彼女の魔法で走って来ていたウルフは声を上げて倒れた。
「なんで……」
不意に僕の口をついて出た言葉だった。
その言葉を捉えたかのように振り返った彼女は睨みつけてきた。
「フォス!いい加減にしてよ!死にたいの!?」
なんで僕がアンサスに怒鳴られなければならないのか――。
「なんで……追いかけてくるのさ……」
僕は彼女に向けて一言そう言い放った。
彼女に背を向けてあと少しの森を下る。
森を下り終わり村が見える。
ほんとに小さな村だ。
森に来た時と逆の道のりで家へと向かう。
「ねぇ!フォス!」
後ろからアンサスの声が聞こえる。
気にもとめずに歩き続ける。
「θεραπεία《ペトラ》」
後ろから聞こえる1つの言葉と共に歩いていた道に森から崩れ落ちてきた岩が現れる。
あと一歩前に進んでいれば怪我どころの話では無かっただろう。
「なにするの?」
振り返ってアンサスに問う。
「ふざけないで。そっくりそのままフォスに返すわ」
「θύελλα《シエラ》」
さっきまで歩いていた道と向き合い一言言い放つ。
暴風が吹き岩を砕く。
僕が使えるうち1つの魔法だ。
砕いた岩を通り抜け家路に着く。
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