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「ただいま……」
家の扉を開けそう言う。
「おかえり、フォス」
「うん……」
母が出迎えてくれた。
僕が家の中に入って少しすると、父が帰ってきた。
「たっだいまー!」
いつも元気な父は冒険者だ。
この村ヘリオスで1番と言われるほど名の高い冒険者。
母はヘリオスで1番と言われる治癒士。
そんな2人の子に生まれながら、使える魔法が2つしかない出来損ないの僕。
村のみんなからは出来損ないだとか最弱だとか、落ちこぼれだとか謳われている。
「どうした?フォス」
父にそう聞かれて慌てて答える。
「あっ、いや……ちょっと考え事してただけだよ……」
そう言うと父は微笑んで答えた。
「そうだな、フォスももうすぐ魔法学校へ入学しなきゃならんしな……」
魔法学校――。
魔法士を育成するための学校。
14歳を迎えた子供は強制的に魔法学校へ入学させられる。
「フォス、無理して魔法学校へ行かなくてもいいのよ?」
「でも……魔法学校は強制でしょ」
「そうだな。でも……息子が、フォスが行きたくないと言うのならば受け入れるさ」
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