拝啓、先輩へ

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拝啓、先輩へ 改めまして、卒業おめでとうございます。 噂によると第一志望の高校に受かったそうですね。それも含めておめでとうございます。 私が吹奏楽部に入部してから先輩が引退するまで、本当にお世話になりました。 先輩には感謝しかありません。 そんな感謝しかない先輩への手紙に、これから少し嫌な気持ちになってしまうかもしれない事実を書きます。ごめんなさい。 でも、大切なことなので読んでもらえたら嬉しいです。 私は、一年生の間、教室に行けていませんでした。 どういうことかというと、学校には来てたんですけど、別の教室で一人で勉強して、その後部活に来ていたんです。 入学してすぐにカースト上位のクラスメイトに目をつけられ、よく悪口を言われたり、ものを取られたりしていました。 なので、一年生の間は教室に行っていません。ずっと隠していて、ごめんなさい。 でも、そんな嫌なことがあった中でも転校とか自殺とかをしないでいられたのは、先輩がいたからです。 先輩は私が教室に行っていない時期、当時の三年生の先輩を引き継ごうと必死で頑張っていましたよね。加えて学校の成績も超優秀だったと聞きました。なんなら委員会(なんの委員会だったかは忘れてしまいました。なんせ一年前ですので)の委員長もしてませんでした?(体力えげつないですね) そんなに忙しかったのに私のことも気にかけてくれて。見捨てないでいてくれて。 優しくて、なんか心にじんわりときたの覚えています。 そんなに一生懸命で、まじめで、なのにすごく優しい先輩を見てずっと「かっこいい」って思っていたんです。 以前、去年の三年生の皆様にプレゼントを贈るための買い出しに行ったことがありましたよね。 その時私、リュックに私の好きなアニメキャラクター(推しっていうんですよ)のキーホルダーつけてるの忘れてて。 先輩に見られちゃったじゃないですか? その時正直、「あー、終わったなー」って思ってて。 だって、今まで認めてもらえたことなかったから。 だいぶマイナーなアニメだったし、先輩もどうせ「こんなの好きなの?」って笑って馬鹿にするんだろうなって、思ってたんです。 でも、先輩は笑わなかったですよね。 なんなら「そのアニメなんていうの?」ってスマホで検索かけたりもしてくれて。(あの時、スマホの操作慣れてなかった先輩があたふたしてたの面白かったです笑) その時、すごく、ほんとに嬉しかった。 私の好きなもの、笑ったりしないんだって。 この人は、何を好きであろうが認めてくれるんだって。 本当に、嬉しかったんです。ありがとう。 他にも、先輩にはたくさんお世話になりました。 そもそも、私が初めてフルートの楽譜(と、いってもワンフレーズだけですけど)吹けたときも、先輩がそばにいてくれてて。 自分のことみたいに喜んでくれてて、なんか、笑ってしまって。 先輩と過ごした日々は、本当に私の宝物です。 私は、先輩が好きです。 恋愛感情かどうかはご想像にお任せします。私にもよくわからないので笑 改めて、卒業おめでとうございます。 あなたに、素敵な未来が訪れることを願っています。 20XX年 M市立S中学校第85期生 吹奏楽部フルートパート あなたの後輩より
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