アイに任せて

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 山越の死は今までの規則から少しズレていた。山越は渡部に言われた通り、土曜はずっと家にいたらしい。そして、土曜を超え日曜になった時、生き残ったことの歓喜からかクラスチャットで連絡が来た。  山越が生き残ったことを誰もが讃えた。だが、それを裏切るかのように日曜日、山越はトラックに轢かれて命を落とした。天から地に落とされたことで今週のクラスの雰囲気は最悪だった。  おそらくだが、アイは元から規則なんて考えていなかったのではないだろうか。考えていたのは、メールの送り方と殺人の手口のみ。殺人日が規則的になったのは、榎本を殺すための絶好の日が大曲を殺した日と同じ土曜日になったため。  規則的にしたのは、渡部が山越に「土曜日は家から出るな」と忠告したように土曜日という枠だけに注目させ、視野を狭めさせたかったからだろうか。それを知るのはアイ本人のみ。 「ようやく来たか」  金曜の朝、俺の元に一件のメールが届いた。  俺はスマホを開いてメールの内容を確認した。差出人はやはりアイだった。 『出席番号40番。渡部 大介。同級生には注意してね』  文面だけ見てすぐにスマホをポケットに入れ、学校へと足を運んでいった。  おそらくこれがアイの最後のメールになる。俺は頭の中でこれからの行動を思案した。
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