リスタート ※

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リスタート ※

いつものように期末試験は散々な結果だったが、終わってしまえばこっちのもの。今年度の学校行事は、あとは卒業式を残すのみとなった。1年というのは本当にあっという間だ。 追試も終わったというのに、七海の表情は優れない。1年生の七海にとって卒業式はそれほど重要な行事ではないのだが、こんなにもセンチメンタルな気分になってしまう理由は一つしかない。 修作と付き合い始めて2週間が過ぎた。受験が無事に終わり、自由登校の3年生は卒業式まで最低限しか登校してこない場合が多いのだが、修作はできるだけ登校し、放課後の短い時間だが七海と会って一緒に過ごすようにしていた。もちろん、場所はあの空き教室。 今までの空白を埋めるように、二人はたくさん話をした。昨日見たテレビが面白かったとか、購買の新商品のパンがハズレだったとか、そんな他愛もない話。結局、いつも自分達の話をする前に下校の時刻となってしまい、“また今度”と言って笑い合う。そして…最後は必ずキスをした。 そんな幸せな時間もあと僅かしかない。
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