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「ナナ…」
しばらく抱き合い、さっきまでと明らかに違う声色で不意に名前を呼ばれて、七海は少し緊張しながら顔を上げる。クンっと軽くつま先に力を入れると、すぐに唇が重なった。
この教室で修作から誘われるのは初めてだ。あの頃ずっと避けられていたキスも、今はこんなにたくさんしている。それだけで七海の気持ちは高ぶり、それは修作もまた同じで。 触れるだけのキスを何度もして、そのたびに七海から香る化粧品の仄かな甘い匂いにあてられて、高揚感に抗えない。
「ナナ、本物の女の子みたい」
そう言われた七海は少しだけ切なげな表情を浮かべて修作に尋ねる。
「女の子の方が良かった?」
「ううん、ナナがいい」
修作の答えに耳まで真っ赤にした七海は、恥ずかしさで咄嗟に身体を逸らすが、すぐに修作に捕まってしまう。
「照れてんの?可愛い」
そう言って修作は七海の身体を抱き寄せると、もう一度キスをした。
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