リスタート ※

7/18
前へ
/207ページ
次へ
「なぁ、一ノ瀬」 修作に声をかけられる。まだ帰りたくない、七海はそう思った。…でも修作は優しいから、きっとこの後「駅まで送っていく」と言ってくれて、それでサヨナラして…そうしたら次に会うのはきっと卒業式当日だろう。 そう思って涙が溢れそうになった時だった。 「今日…泊まってくか?」 予想外の言葉に面を食らった七海は少しの間のあと、大きな目をさらに大きく見開いて修作の顔を覗き込んだ。 「いや、あのっ…変な意味じゃなくて、その…だいぶ遅くなっちゃったし、明日休みだし…」 必死に説明する修作の姿を見て、なんだか恥ずかしさがこみ上げてくる。七海は俯き気味に「ちょっと…親に聞いてみるね」と言ってスマホを取り出した。 家に電話をかけ終えた七海の顔をどうだった?という表情で修作がのぞき込むと、七海はニッと笑い返す。 「ご両親にもよろしく伝えてって」 「そ…っか」 家の中に戻って修作がこのことを三和子に伝えると、「こちらこそ、遅くなっちゃってごめんなさいねー」と、申し訳なさそうに七海に頭を下げた。
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加