15歳

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「なっ……!?」 ミナトがそれを視界に捉え、息を呑んだ時、森の入り口の方から大勢の足音が近づいてきた。 「おーい、何かあったのかー?」 「大丈夫ー?」 後に控えていたクラスメイトたちが、異変に気づいて一斉に入って来たらしい。 こっちへ来てはいけない。 この女を見てはいけない。 きっと——あれが『凪の森』に棲むと伝わる女——『ナギ』だ。 ミナトは本能的にそう悟ったが、驚愕しているのか恐怖しているのか、自分の喉元から声を発することができなかった。 そうこうするうちにクラスメイト全員がミナトたちの元に合流し、そして、見た。 ある者は泣き叫び、ある者は女に向かって石を投げた。 しかし女はものともせず、ただ黙ってそこに漂うのみだった。 ——やがて、一人の女子生徒がその場にうずくまり出した。 「熱い……熱いィ……!」 それを皮切りに、他の生徒たちも次々にその場に倒れ込み、「熱い」「痛い」と言って悶え始めた。 ミナトもまた、身体中が発熱するのを感じた。 血液が沸いているかのように熱い。 そして全身を針で刺されているかのような鋭い痛みが襲い、ミナトもその場に倒れ込んでしまった。 絶えず押し寄せて来る苦しみに悶えていると、不意に脳の中へ囁きかけて来るような声が聞こえてきた。 『私を恥辱する者は、皆あの世行きだ』 この声——あの女のものか!? ミナトは必死で瞼を開き、自分の頭上を漂っている女を見上げた。 「イヤ!嫌あぁ……」 「死にたくないぃ……」 周囲から、女子生徒たちが泣き叫ぶ声が聞こえて来る。 恐らく皆が同じ声を聞いたのだろう、と察したミナトだったが、 だからといってこの場をどう乗り切ればいいのか見当もつかない。 ——ああ、俺もカイリと一緒にイベントをサボれば良かった。 肝試しなんて興味なかったのに。 他人の告白に協力なんてしてやるために、とばっちりで祟りに触れるなんて、こんな散々な結末あるかよ。 それに俺、まだカイリにちゃんと返事もしてないのに—— こんなとこで死にたくない。 今はまだ、死にたくない。 助けて—— ミナトは、そこでとうとう意識を手放した—— ——どれほどの時間が流れただろうか。 目を開けた時、ミナトは自分がベッドの上に寝かされていることに気付いた。 「っ……!」 そうだ、あの幽霊——ナギ! みんなはどうなった?クラスのみんなは無事なのか?! ミナトが慌てて身体を起こすと、もう刺すような身体の痛みは消え去っていることに気がついた。 熱も、痛みも嘘のようになくなってる。 ミナトは驚くと同時にほっとしながら辺りを見渡した。 辺りは白い壁に覆われており、自分の横にはよく分からないモニター類が置かれている。 もしかして、ここは病院の中……? ミナトが戸惑っていると、部屋の戸がガラリと開く音が聞こえた。 「っ!ミナト——良かった、目を覚ましたんだね!!」
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